2016年08月25日

「FUEL SILVER ACCESSORY BRAND FESTIVAL」☆毒抜き☆

鉄は熱いうちに打て、さもなくば死ね、という言葉もあるので満足に整理する時間もない中ですが忘れもしないうちに殴り書きをします。
といって、別にスカスすつもりはないですが、有明だ幕張だドームだというイベントではないですから、そういうテンションではないです。

まず、こうした試行錯誤が制作者主導で行われることを、大変ポジティブに捉えています。
クラフトマンのイベント、アクティビティ、まあそういった作って売る以外のアクションというと、百貨店の催事や特集、在店イベント、もしくは蚤の市系イベント、あるいは音楽やバイクや学術系や…関連他業種イベントの出展がほとんどでしょうか。
中にはクラブイベントを主宰したり、ショーやパーティなどを開催することもありますが、マンパワー的にもそんなにハードルの低いことではないでしょう。

何の話かというと、お膳立てされたハコにブースを構えて展示するイベントが主流の中、発信者が主体的に働きかけるイベントということについては積極的に応援していきたいと、そこは明確に申し上げておきたいところです。

◆本イベントについて
当日参加を前提とした記事にするとあまり意味がないので、このイベントについて、そもそもやっていたことを知らずにこのエントリを見る人からを対象に、整理したいと思います。

8月20日、21日の2日間にわたって、愛知県岡崎市のSTUDIO Venom Glowにて、国内の多数のブランドが「FUEL SILVER ACCESSORY BRAND FESTIVAL」と銘打ち、合同でイベントを行いました。
http://www.venomglow.com/fuel/

インストアの合同展との違いは集結する出展社数、それと2日間4組で行われるリアルタイムコラボレーションメイキング、「クリエイションバトル」。
それから、dual flowの真鍮板カービングパフォーマンス、STRANGE FREAK DESIGNSによる3Dモデリング実演。ANOTHER HEAVENのスタッズ打ち込み(レザー)、KAGEMARU DESIGNSの造形実演。
それらのコンテンツ展開、それとフリースペースを設けて交流をするスペースも取られていました。

◆コミュニケーション
面積的には限りがあったという部分はありますが、少なくとも個人的には色々な話が出来て有意義だったと思います。
単独のストアイベントよりは密度も広さも大きくコミュニケーションできたのかなと。
ただ、あまり自分の立場を内に置いて書くのは好きではないのですが、事実として僕自身のこれまでの関係性があったからであることは否めないので、これは個人によって大きく差が出るところではあったかと思います。

初日などは、特にDEAL DESIGNの山下氏が積極的に各デザイナー陣と絡む一幕があり、それが場を盛り上げる一つになっていたところもあったような気がします。
よろしく頼まれていたのかただお酒でアガっただけなのかは存じませんが、もしかしたらそのあたりは、皆さん自由にご歓談、だけでなくポイントで仕切りを入れても良かったかもしれません。

◆ライブパフォーマンス
パフォーマンス類については、非常にシンプルな話ですが豪華なメンバーのクリエーションをいっぺんに見られるという点で非常に貴重な場になったと思います。
やっぱり正直なところ、ノコや鎚でのアナログ作業の職人仕事っていうのはロマンがありますし、ややワードとしては陳腐化してきていますが一点一点職人の手で、というのを本当の意味で体現している工程だと感じてしまいます。鋳金が悪いとかいう気はないんですけど、それでも。
だからこそ多くの顧客がカスタムメイドに惹かれるのでしょうし、とはいえじゃあそれが必ずしもレギュラー品に優るかというとそれはまた別の話だったり、まあこれはなかなか、永遠のジレンマかもしれませんが。

テーブルを並べて二人のクリエイターが作業をする、またその同空間で一発勝負のカービングも行う、というのはじっと見ていてもそう退屈させない、特に刻々と進んでいくのが視認しやすいカービングはいいアクセントであり、また場を繋ぐのにも効果的だったと思います。
サイズも大きいから出来上がりはやっぱり迫力ありましたしね。

◆ブランド&アイテム
ほとんどは既知ではありましたが初見もいくつかはありました。
また清葉氏の切り絵という異質を取り込んだのは意外でしたが、作風の親和性もあるので場作り的にも良かった気がします。この考え方の方向性は良いんじゃないでしょうか。何でもかんでも「アートごった煮」にすればいいわけではないですが。
今回は比較的繋がりの自然なラインナップである意味安心感もありつつ、一斉に並ぶというインパクトもありつつでしたが、ここからさらに異分子というか、変な話「慣れ」のない面子の比率が高まってくるとそれはそれでどうなるのかな、という関心が出てきますね。そんなん簡単に言うなよ、という話だと思いますが。
勝手に具体名出すのも仁義的に違うのでそこまではしませんが、いろいろ想像するとシュールな絵が浮かんで、面白いかもしれませんねえ。

◆引っかかった点
一方で客観的に一つ大きく気になったのが、ターゲット設定がどこにあったのだろうか、というところでした。
ガッツリ販売するぞ、という企画というには集客の経緯も環境面でも、既存ユーザーに特化しているような印象を受けます。中長期で見ればある程度お金を落とす顧客ではありますが、すでに十分吐き出している客層でもあります。
ですので、費用を掛けながら実施されている各社、各デザイナーには恐縮ですが、収益よりは接点の拡大を主眼に置いたイベント、これは事前からそういったイメージがありました。

具体的に言いますと彫金ブース。これは正直コンテンツとしては、機能不全になってしまった感があります。
余力があればMCを立てても良かったですし、定点カメラなど置きたいところだったな、と思います。結局背後に立って手元を覗けるほどの一般客はそうそういないと思いますし、誰が誰みたいなことも知っている人しか知らないわけですので、何が起きているか見せることを重視するともっとよくなるのかなと。
実際、S.F.D古谷氏の3Dモデリング実演では客向けのモニタを立ててありました。これが作業モニタを覗きこむのでは、客のヒキは全くなかったことでしょう。そういうことだと思うわけです。
まあリソース的なハードルがあるとしても、例えば…これも余力の問題かもしれませんが、「ライブでこれを作ります」「できましたご覧ください」のフィーチャーは必要かな〜、というところでしょうか。
足していく方向で言うと、ただの垂れ流しであっても手元のストリーミング配信などしても良かったと思います。

◆継続に向けて思うこと
作業をどう味付けしてコンテンツに昇華させるか、ということは今後様々なイベントにおいて、マンネリ化を防ぐ意味合いでも突き詰めていく価値はあるでしょうし、今回のイベントもその道の途中と言えるかもしれません。

今回のイベントは、岡崎の、繁華街からも少し距離のあるロケーションで、基本的には狙い撃ちの来場者にかなり絞られるという前提がありました。
そこにはるばるコストや時間をかけてきたお客さんをもてなす、スペシャルな楽しみを与える、ということが至上命題であれば、ここから先はまた別の話かもしれません。
なのですが、せっかくなら次は…ということで率直に言いますと、やはりインナーの印象が否めなかったということです。
いちユーザーとして言うなら、なんやかんやで両日昼過ぎからクローズまで場が持っていますし、最初に挙げたように有意義に過ごせました。一方で絶対数としてそれを体験できる人数がもっと増える方向に行った方が良いんじゃないかな…という思いもあるわけです。

おそらく当日使われたチケットから分析されていると思いますが、事前の情報、告知がどれだけリーチしたのだろうか?とか、参加したブランドは新しい知名度をどれだけとれたのかな、とか…
イベントとして、あるいは参加するブランドの目標とその到達度はどのように考えられていたのか、余計なお世話もいいとこの話でありますが、「次があるか」というのはそこに集約されてくると思うので、いささか気がかりになってしまうのです。発展しながら続いてほしいですから。

◆ザ・小市民的弁解
ただ、こういった話も、作り手からすればやっぱり物を作って見せることが本分ですから、「良いからアイテムを見て感じやがれい!」という部分もあるかもなあ、とは思ったりします。
ですからこの、もしも主催側の方々の目に留まった場合には「大きなお世話だこの野郎」と思われても仕方ないような記述もしましたけれど、その辺りはクリエイター個々の価値観もあるでしょうし、どのような骨子に基づいて皆さんが承認しあったのかなど、内部情報になるようなことはこうした記事を書くだろうと思っていたこともあって意識的に「踏み込まないように」話を聞いています(伺った話で内部事情に触るかも…という話題については、残念ながら全カットしています)。
ですのでまあそう言う見え方もあるのだなと、現実はそうなんでも上手くはいかんけども、ということで適宜処理していただけると幸いだな、と思う次第です。
万一「この記述は差し控えてくれ」ということがございましたらお申し付けくださいませ。

以上、なるべく鮮度のあるうちにということで突貫で起こした所感でございました。
posted by 遼 at 00:23 | Comment(0) | 所感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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