2007年12月04日

不正競争

今回は不正競争防止法上の別な項目からも、シルバー業界に関わりがありそうな部分を抜き出してみることにしよう。
この法の不正競争の定義中に「原産地等誤認惹起行為」という類型がある。

その詳細は「商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為」とある。

さて、シルバーアクセは数あるが、その生産地や生産体制、正確な品質情報は世の中いろいろな商品あれどまったくといっていいほど明示されていない。せいぜいシルバーの刻印が打ってあるくらいだ。
ブランド衣料でもちゃんと中国製ならメイドインチャイナと書いてある。合皮なら合皮、またはポリエステルなどと書いてある。革小物だって大抵はタグが付いていて裏張りが合皮ならちゃんと書いてある。
でもシルバーアクセはSILVERだけだ。925と打ってあったって割金までは明示されない。高級を謳ったハムだって発色剤や増粘多糖剤、結着剤など書いてある。
地金の配合が企業秘密だというケースもあるのだろうが、明示の義務がなくともきちんと表記することで得られる信用と言うのもまたあるはずだ。

有名インポートとされるブランドだって本当にインポートかわからない。外国人デザイナーが日本で展開しているだけのものだってある。クロムハーツもロンワンズも、僕はその工場がどこにあるか知らない。
たとえばロードキャメロット、以前店員に「イギリスのブランドなんで云々」と言われたことがある。このブランドは海外展開もしているが、本拠地はまず大阪だし、海外店舗はイタリアだ。イギリスには縁もゆかりもない。(ただの店員の勘違いかもしれないけど)
ウィリアムウォレスの本体はエムアンドエムシルバー社で、小金井市に本社を構える。別にブランド自身は何も偽っていないが、ムックではしばしばインポートとして取り上げられ、時には店舗でも「輸入モノなので云々」と聞いてもいないのに言われる。
インポートでない商品を、ハクをつけるためにインポートと騙るのは明らかに産地偽装。どの業界も考えることは同じだ。

また、どのブランドもメディアには「デザイナー」がしばしば顔を出すが、これは必ずしもイコール原型師であるとは限らない。しかしかなりの確立で、名言はしないもののデザイナーが全工程を行っている「風」に見せられる。
ショップに行った時にみたブランドで、「某ドメスブランドの原型氏のブランドですよ」と紹介されたものも複数ある。
「一人のアーティストの手による作品」というイメージの「商業的価値」を示しているだろう。

また、製造方法だって怪しいものだ。二言目には「ハンドメイド」といえばいいと思っている節があるが、そもそもハンドメイドかそうじゃないかの区別はどこにあるのか。ハンドメイドを売りにするブランドは多いが、全工程を機械化することなどできるのか。大半は鋳造で量産していると思うが、それもハンドメイド、地金加工で作っているのもハンドメイド、でひと括りにされている。そら鋳金も手工業なんでしょうけども…製造工程は彫金なのか?鋳金なのか?銀線細工なのか?複合技なのか?
ジャンルを線引きする必要はないし、出来上がったものが良ければ何でもいいとは思うが、現実としてただハンドメイドという言葉だけが一人歩きしている。リューターはハンドメイドだが彫刻機はマシンメイドか?熟練の切削機技術はマシンメイドで流れ作業のバフ磨きはハンドメイドか?
考えたってしょうがないが、言葉のマジックで専門知識のない一般顧客を翻弄しているという意味ではあまり気持ちの良いことじゃない。

粗探しみたいで気分の良いものにならなかったが、こうやって見ると不正も何もない。市場そのものに公正さが欠けている。雨後の竹の子みたいに「自称ブランド」が乱立する中で、昨今当たり前になりつつある生産工程のトレーサビリティーなどこれっぽっちも考えられちゃいない。
イメージ命の商売に終始しているのは、しょせんアクセサリーなど格好をつけるための装身具に過ぎないということなのか…?

すなわち、ユーザーの大半もブランドネームや「ハンドメイド」という言葉のイメージ、輸入品のハク(外車みたいな)、そこに金を払っているということなのか。
二言目には「クロムハーツなんて」というこだわり派のような人も、単に生産規模が小さいとか、知る人ぞ知るイメージとか、単にマイノリティーを気取れればそこで思考停止してしまうのか。
それが市場の意思であるならばそれでいいのだろう。なにも芸能人が「恋人なんていません」と嘘をついたからって虚偽申告だと訴える人もいまい。

ただ、どんなにアイドルが歌唱力を磨いてもアイドルとしか見てもらえないように、どんなにクリエイターが創作に情熱を燃やしても、イメージ勝負でしかないのだとしたら、残念なことだ。


製作者の方には大変失礼なことを申し上げるが、もしも今、「職人」だとか「クリエイター」だと評価されているとしても、ひょっとしたらそうして慕う人々は「職人気質のイメージ」「クリエイティブなイメージ」に群がっているだけかもしれない。


posted by 遼 at 13:14 | Comment(3) | TrackBack(0) | 所感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分はあくまで気に入ったものを買うだけですね。
デザインが自分の好みに合っていて安けりゃそれでよし。みたいな。

安いに越したことはない。無駄金なんて一円だって払いたくない。

そんな自分でも本物以外は絶対買わないっていう心酔しきったブランドは一つ二つはあるけど。


まぁ、こういう貧乏心理を利用してシルバーに関わらず、著作権無視の海賊版やらコピーやらが出回り、売れに売れるという社会悪まではびこってるんでしょうけど。


そもそもアクセサリーとは言え、「創作物」であるのに、著作権があって無いようなこの現状はどういうことなのか?

何故ついこの間発表された、とあるブランドのデザインが、平気でネットオークションやオンラインショップ、渋谷のシルバーショップにまで「コピーあるいは〜タイプ」と堂々と称して店頭に並ぶのか。


若干、主旨とズレたけど、そういう部分も含めて

胡散臭さ

は着いて離れないのがこの業界なんでしょうか?



ちょっとだけ本筋に触れる。
確かに地金の割合とか企業秘密なのかも知れませんけど、成分表示をするのは当然だと思いますね。

なぜなら金属アレルギーの人に対して不親切極まりない。
着けたくても着けられないって人もいるかもしれないのに。
当然、本当に正確な純度で作ってるの?っていう疑問にも答えないといけないでしょうし。

石入りタイプに関しては鑑定書つけて欲しいですね。


また脱線。
自分も雑誌を読むけど、何でデザイナーが顔出したり、アーティストみたいな発言したり(させられてるのか?)してるのかよく分からない。

デザイナーなんぞに一切興味無いけど、自分の気に入ったデザインを連発するようなブランドであれば、

「一体誰が作ってるんだろう?」

と興味を持つのは当然のこと。
いちいち雑誌でインタビューしたり、理想論載せなくたって、「興味を持てば知りたい」っていう人が自然と出るだろうし。




あ、デザイナーに興味を持ってる人が多いからデザイナーが全面に出てきてるのか?


えー?本当にそうか?
皆が一番興味があるのはデザインなんじゃないの?


まぁ興味が無いのは俺だけなんだろうけど。




頼んでもいないし、望んでもいないのにデザイナーまでフィーチャーするのはよく分からん。

たまに、ここのサイトのように銀業界の経営難やら切実な問題を扱ってる場合もあるけど。
多分、そういうのは読み手にはウケないだろうし、ニーズもないだろうから、ああいうスタイルになるのか?

でも…その部分はもっと求めて無いんですけど…(俺だけだが)

例えば、何か画期的な彫金方法だとか、合金だとか、先進的な技術なり、絶対にマネできない何かがあれば、それを取り上げるのは有意義なことだと思うけど(でも企業秘密で終わりそう)。


関心の無い部分でヒートアップしてるように某雑誌のインタビュー記事を読んでそう思った。


お前の主張はもういいから黙って良いシルバー作ればいいのにって。

それが一番俺が望んでることだよって。


こういうのがシルバー業界の活性化に繋がるのか?
それとも何も面白みの無い世界だから人物なり、キャラクターを押し出すことで、ある一つのジャンルとして確立しようとしてるだけなのか?



こういう戦略だかなんだか知らないことで、本来の最も基本的な「商売」という感覚から逸脱してしまっているのではないだろうか。



ま、人それぞれイメージはあるでしょうけど、俺の中の「職人」てのは余計なこと言わないで「結果を形にして現す人」だと思ってますけどね。

そうすりゃ結果が出てるんだから、着いてくるやつが着いて来るんだし。


あ、そうか。着いてこないから雑誌使ってるのか。とか思ったり。


なーんて嫌味なことばっかり考えたりするけど、結論はやっぱり、気に入ったものを買うだけですね。


だって装飾品だもの。


されどアクセ。


デザイナー本人が、この「されど」にどういう気持ちを込めて作っているかが、一番大事なところなんだろうなぁ。
Posted by 十 at 2007年12月08日 09:39
自分はあくまで気に入ったものを買うだけですね。
デザインが自分の好みに合っていて安けりゃそれでよし。みたいな。

安いに越したことはない。無駄金なんて一円だって払いたくない。

そんな自分でも本物以外は絶対買わないっていう心酔しきったブランドは一つ二つはあるけど。


まぁ、こういう貧乏心理を利用してシルバーに関わらず、著作権無視の海賊版やらコピーやらが出回り、売れに売れるという社会悪まではびこってるんでしょうけど。


そもそもアクセサリーとは言え、「創作物」であるのに、著作権があって無いようなこの現状はどういうことなのか?

何故ついこの間発表された、とあるブランドのデザインが、平気でネットオークションやオンラインショップ、渋谷のシルバーショップにまで「コピーあるいは〜タイプ」と堂々と称して店頭に並ぶのか。


若干、主旨とズレたけど、そういう部分も含めて

胡散臭さ

は着いて離れないのがこの業界なんでしょうか?



ちょっとだけ本筋に触れる。
確かに地金の割合とか企業秘密なのかも知れませんけど、成分表示をするのは当然だと思いますね。

なぜなら金属アレルギーの人に対して不親切極まりない。
着けたくても着けられないって人もいるかもしれないのに。
当然、本当に正確な純度で作ってるの?っていう疑問にも答えないといけないでしょうし。

石入りタイプに関しては鑑定書つけて欲しいですね。


また脱線。
自分も雑誌を読むけど、何でデザイナーが顔出したり、アーティストみたいな発言したり(させられてるのか?)してるのかよく分からない。

デザイナーなんぞに一切興味無いけど、自分の気に入ったデザインを連発するようなブランドであれば、

「一体誰が作ってるんだろう?」

と興味を持つのは当然のこと。
いちいち雑誌でインタビューしたり、理想論載せなくたって、「興味を持てば知りたい」っていう人が自然と出るだろうし。




あ、デザイナーに興味を持ってる人が多いからデザイナーが全面に出てきてるのか?


えー?本当にそうか?
皆が一番興味があるのはデザインなんじゃないの?


まぁ興味が無いのは俺だけなんだろうけど。




頼んでもいないし、望んでもいないのにデザイナーまでフィーチャーするのはよく分からん。

たまに、ここのサイトのように銀業界の経営難やら切実な問題を扱ってる場合もあるけど。
多分、そういうのは読み手にはウケないだろうし、ニーズもないだろうから、ああいうスタイルになるのか?

でも…その部分はもっと求めて無いんですけど…(俺だけだが)

例えば、何か画期的な彫金方法だとか、合金だとか、先進的な技術なり、絶対にマネできない何かがあれば、それを取り上げるのは有意義なことだと思うけど(でも企業秘密で終わりそう)。


関心の無い部分でヒートアップしてるように某雑誌のインタビュー記事を読んでそう思った。


お前の主張はもういいから黙って良いシルバー作ればいいのにって。

それが一番俺が望んでることだよって。


こういうのがシルバー業界の活性化に繋がるのか?
それとも何も面白みの無い世界だから人物なり、キャラクターを押し出すことで、ある一つのジャンルとして確立しようとしてるだけなのか?



こういう戦略だかなんだか知らないことで、本来の最も基本的な「商売」という感覚から逸脱してしまっているのではないだろうか。



ま、人それぞれイメージはあるでしょうけど、俺の中の「職人」てのは余計なこと言わないで「結果を形にして現す人」だと思ってますけどね。

そうすりゃ結果が出てるんだから、着いてくるやつが着いて来るんだし。


あ、そうか。着いてこないから雑誌使ってるのか。とか思ったり。


なーんて嫌味なことばっかり考えたりするけど、結論はやっぱり、気に入ったものを買うだけですね。


だって装飾品だもの。


されどアクセ。


デザイナー本人が、この「されど」にどういう気持ちを込めて作っているかが、一番大事なところなんだろうなぁ。
Posted by juu at 2007年12月08日 09:44
心のこもったコメントありがとうございます。
大前提はデザイン気に入るかってこと、これは揺ぎ無いと思います。
そこに加えて、ブランドネームや希少性、制作のこだわりが付加価値としてついてくるものでしょう。
どこどこの芸能人がつけているとかいうのもありますが、また方向性の違う価値基準だと思います。

そういった付加価値で他との差別化をはかり、ブランドの個性だとか良さを見せていく場が店頭であり、メディアなわけですが、はっきり言って出稿者(広告主)にしろ編集にしろ、短絡的で稚拙です。
作り手に焦点を当て、アート性だとか、職人気質だとかを誇張する、もしくはタレントに語らせるばかりです。

いくら製作者が表に出て語ったところで、技術論やそもそもアクセサリーの作られ方自体知らないユーザーにはこれはもうなんとでも言えてしまう。
ハンドメイドならではの品質、なんて言葉を乱用する前に、それがいかなる物なのかを周知したっていいはずなんです。
あの書き方じゃ多分いまだにキャストのアイテムを一点一点銀塊彫ってるんだと思ってる人もいますよ。

なんというか、商売っ気のなさがアーティストみたいな空気を良く誌面でデザイナー自ら語っておられますけど、ビジネスとしての誠意とかユーザーへの思いやりも、あっていいんじゃないかなあ。
Posted by 遼 at 2007年12月10日 12:45
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