2012年04月22日

F.A.L. 東京進出

このブログを始めるきっかけになった大きな要素の一つに、「インディーズブランドバトル カットスロート」というウェブ・店舗連動企画があった。
2000年代前半、ブームも一時の爆発的なところから終息に向かい、多様なブランドが乱立した時代。市場の確立ままならず、アートなのか、カルチャーなのか、ビジネスなのか、境界線もないまま入り混じり、個人制作者もメーカーブランドも等しくブランドバリューを持たない中で、様々な市場づくりを模索していた。
カットスロートはそんな時代に、L.S.D高蝶氏主導で実施された、クリエイター発掘企画。それはある意味実例作りのトライアルであったり、まだ確立され切っていない「シルバーアクセデザイナー」への啓蒙でもあった。

気付けばカットスロートの起ち上がりからもうおよそ8年ほどの時が経った。きっとこの記事が、何のことかわからない人の目にも入るのだと思う。
F.A.Lは僕がそのカットスロートを知るきっかけとなったブランドで、クリエイター間のバトルを勝ち抜き、今では全国に取扱店、愛知に直営2店舗を持つに至ったブランドだ。その3店舗目が、東京は原宿にオープンすることとなった。
ここまで特定のブランドのエピソードをフィーチャーすることはあまりしないで来たが、今回は一つの歴史の振り返りという意味も込めて、少しばかり己の感慨にも浸りながら書き連ねていく。

小学生の時にアボリジニの作った陶器のブレスレットを手にして以来、人の文化と装飾というものについて漠然とした関心を寄せていた僕だったが、シルバーアクセサリーには長らく関心が向かなかった。
それでも18の頃、クロムハーツの代表作CHクロスのフォルムは、当時プロテスタント系高校に通う僕にとっても完成されたフォルムに映った。それが、全ての入り口だった。
既に初めからブランド主義とは縁遠く、僕はすぐに自分なりのものを求めだした。自分の足と目を頼りにするスタンスはまったく初めから変わっていない。クロムハーツは今もその一つしかもっていない。
A&GやBWLにも手を出したが、アメリカ系はやはりバイカー色が肌に合わなかったのか、エムズコレクションを足掛かりに、インポートではグレートフロッグに惹かれるものの、ロックキャンディ、ロードキャメロット、と早くも国内ブランドに比重を置き始めていた。

そうこうするうちにインターネット上に、個人サイトでのブランド運営を行う人々の姿が見え始めた。そこで関心を持ったのが、F.A.Lだった。そしてそのウェブサイトに、カットスロートの文字を見つけたのだ。

当時卒業を控えながらも大量の単位を残していた僕は金銭的に余裕もなく、それほど売り上げに貢献できたとは言い難かったが、カットスロートにはユーザー側として結構深く入り込み、参加者とも積極的に関わって行った。
このブログを始めていたこともあるが、なにより未開拓な世界の行く末に深い興味と、応援する気持ちが動機だった。本音のところ、首を捻るようなこともなくはなかったが、水を差すことだけはしないようにと思っていた。
そして、中でも贔屓であったF.A.Lは2代目チャンピオンとなった。
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これは当時物議をかもした「ラブバングル」と、イベント用のワンオフリング。リングはワンメイクカスタムでもなく、これが原型の一点物、ラブバングルにはシリアルNo,1の手彫りが刻まれている。

こんなことをあえて書くのには躊躇もあるが、当時コアなフリークの間では必ずしもF.A.Lの人気が高かったかというと、そうとも言えないところがあった。こういうと語弊があるがF.A.L派を自負していた僕はやや劣勢になることが多かったのだ…。なにしろカットスロート・ファンにはストフリの熱烈ファンが多かった。
出だし勢いよく快勝して初代王座を射止めたボルテックス(現デュアルフロウ杉山氏のブランド)、後に圧倒的な強さを見せたストフリに対し、F.A.Lはどちらかといえば安定感で勝ち抜いた印象が強かった。2者に比べややインパクト面で譲る部分が正直あったと思う。
そんなF.A.Lだったが、いざメジャーブランドへの道を歩み出すと、俄然輝きを放った。カットスロートではデザインイメージが特化したブランドほど目立つ傾向があったが、市場においては個性的な世界観を持ちながらも間口の広いF.A.Lの強さが光る。上述3者は今となっては揃って名クリエイターに成長しており、当時の切磋琢磨を眺めていた身として非常に感慨深いものがある。

F.A.L山本氏は今やその活動も精力的で、レギュラーラインナップの豊富さもさることながら毎シーズン何十ものワンメイク・カスタムを引っ提げて全国の取扱店を回る。そのうちの都内2店舗にあたるDEMA新宿店・池袋店が今年初め、閉店となった。新宿はボルテックス、ストフリと「カットスロートチャンピオンズリーグ」を戦った店舗でもある。先程のワンオフリングはこのイベントで作られたものだ。
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これはそのイベント時カスタムオーダーした、これもイベント限定アイテムの「ドリュー」ペンダントとエンプティスカルの合体ペンダントヘッド。
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そしてこれは、先程のワンオフリングにDEMAラストイベント時に一部再エングレービングをしてもらったもの。始まりのアイテムに、DEMA最後の日、再び命を吹き込んだ。

…こうして大きな拠点を失ったかに見えたF.A.Lだったが、この4月、原宿に直営店を展開した。

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4月20日のオープンは金曜日だったので、僕は仕事終わりに駆けつけた。時間も遅くオープンイベントは終了に向かっており、雑談したり、エングレービングを入れる作業をしたり、ゆったりとした空間だった。
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特注で用意したという什器の置かれた店内は、ショップでありギャラリーでもある。作品のシリーズテーマごとにケースを分けて展示されており、世界観が把握しやすい配置。
奥にはテレビモニターが備え付けられている。什器といい、大分思い切って投資してきたという印象。
中央スペースを開ければ、モニターを利用したイベントも実施できそうだ。
ショップスタッフはもちろんベノムグロウ(運営法人)の正規スタッフなので、商品選びやオーダーの相談もしやすいだろう。
さらに、ワンメイクアイテムやGALLERY Venom Glowのみで展開されていた「Venom Gothicer」も展示販売されている。このラインの扱いは全国で2店目になるので、関東のファンには大変ありがたい話だ。
店作りについて特に辛口で言うべきことは特に見当たらない。
立地は明治神宮前駅ほど近くと、これも悪くない。詳しくはオフィシャルを参照のこと…

依然として、メンズアクセサリー市場は苦しい時期が続くと思う。生半可に高額なシルバーという素材が敬遠される傾向も少なからず感じられる。それでもこうして前進していくブランド、進化していくクリエイターがいるということには、僕も喜びを感じる。
こうして今カットスロートから今日までを振り返ると、彼らのように翔いたクリエイターもいれば、消えていったクリエイター志望者が大勢いることを再度認識もした。正直、思い出せないカットスロート参戦ブランドも複数ある。中には造りの腕なら十分プロレベルなのに、という人だって。
僕もまた、めっきり記事も書かなくなってしまったから、偉そうに言えたものじゃあないけれど。

とはいえ、いくら歳をとってもこの世界は思い出深いものだし、まだ当分見続けていくつもりでいる。このお店にも、ちらほら顔を出すことでしょう。遭遇したらお気軽にお声がけを。

最後に、F.A.L山本さん、スタッフの皆さん、この度はおめでとうございます。
これからも、益々のご活躍を。
posted by 遼 at 02:31 | Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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