店内はひときわエレガントな雰囲気をかもし出しており、およそシルバーショップの趣ではなく、高級ブティックのそれになっていた。
気まずさが表情に出たのを実感したまま、さりげなさを装いショーケースを眺める。見るたびに新たな発見があるのはキャメロットに限ったことではないが、特に興味の強いブランドだけに気になる点は毎回出てくる。
そうこうしていると先日も話を伺った店長が現れた。正直に言って天の助けだと思った。
やたらとたくさんの外国人がいるのが不思議だったが、その中にデザイナーのデービッド氏がいることがわかり納得した。どう考えても外国からの観光客の雰囲気ではなかった。
見たところ店内にいるのはみな関係者という感じだった。客らしい客も見当たらず、心持ち不安になった。
開始が迫り会場のセオリーカフェ前に移動するものの、一向に一般客が現れない。記帳も一般客一番手で、結局しばらくそこに留まっていても誰一人一般客のノートに記帳することはなかった。
なれない場に行くといつもそうであるように、壁際に腰掛け足を組み、いかにも人を寄せ付けない体(てい)で会場中を眺めていた。耳に入る会話もどこか違う世界のようで、ここ最近深く入り込んだと思っていたシルバー業界でもいろいろなのだと改めて感じた。
下戸のせいでせめて酒でもというわけにも行かずウーロン茶をすするが、雰囲気はどうも怖さがあるままだった。
先ほどの店長とあれこれ関係のある話ない話をしていると、デービッド氏に接近することになった。奥へ歩いていくとちょうど向こうから近づいてくるところだった。少しばかり身を固くした。するとなぜだろうか、目が合ったとき「オオ、松下サン」と彼の方から声を掛けてくれた。話によると問い合わせのメールにも目を通しているようで、このブログも読んでいるということだった。正直言って想定していなかった事態に焦ったが、まずいこと書いちゃいないか、と思うよりも素直にありがたく思った。
しかし旅行でなんとかなるくらいの英語は出来るはずだったが、すっかり戸惑って何度も聞き返すわ、横浜でシルバーを扱っておられるらしいハイム氏にまるまる通訳してもらうわでまるで格好がつかなかった。
元々展開の広さの割に一つ一つの商品にやけに手が掛かっているあたり凝っているとは思っていたが、アフターケアにもデービッドし自らかなり気を使っているようだった。完璧じゃない部分はどうしても出てきてしまうが、アフターケアは欠かさないし、より良いものを作るために努力する、とはっきり眼前で言われると、ユーザーとしては素直に嬉しくなる。
松岡充氏の特注アイテム(非売品)を見せてもらったり、ブログにお褒めの言葉を頂いたあと、確か店舗も空けているというので、そちらを少し見てみようと思い移動する。
店頭には直接来られなかった松岡氏から花が届いていた。
上の状況を聞かれ、やはり関係者が多そうだと答える。一般客を見つけよう、と店長と連れ立って再度カフェに行くものの、話し掛けられそうな人が見当たらない。既に大抵顔見知り同士で固まっているようだった。
結局野菜を食みながらシルバー談義に花を咲かせていた。
その後しばらくして店長は店番を交代しに行き、僕は一人で煙草をふかし始めた。適当なところで一人でいたハイム氏に近づき、再び言葉を交わす。実にいい人だ。
このとき名刺を交換してもらった。(といっても自分のはブログ告知用のおもちゃだが)
会も終盤になり、くじ引きでプレゼントが配られた。くじ運は悪くはないが、前日からこの日の朝まで参加したCMフェスティバルで1000人中16人の抽選にあたり舞台にまで上がって鍋セット3万7千円を獲得したばかりだったため、まず当たる気がしなかった。3人の当選者中Tシャツ当選の2人が終わった時点で残ったのはペンダント+ネックチェーン総額は10万を越える大物だ。あたかも絶世の美女を目にし「ああ、恋をしてはいけない、期待をすれば自分が傷つくだけだ」と言い聞かせるように、期待すまいと念じた。
数少ない(たぶん)一般客から当たる気がしたためにかえって期待を殺すのに苦心したが、あたりまえのように外れた。当選者は一般客だったが、いつの間に来た人なのかまるで気付かなかった。いたのか、とやっと思ったがこのタイミングでそれが判明してもむしろ悔しいだけなので、主催側には申し訳ないもののたかがくじ引きと突き放して考えることにした。
もうそろそろ終わりだということで店を見ておくことにした。店長は記念品配布に当たっているため、別の女性店員にあれこれ聞いた。特に気になっていたジーンズをより良く見るものの、どうも自分に合うサイズは展開されていないようで、すこし残念だった。
クラウンリングに今更惹かれ始めたり、他にも何度も見るうちに興味を惹かれるアイテムが出始めたが、切りがなくなってしまう。
そしてハードスケジュールをこなしへばりながら、岐路についた。
入り込みにくい雰囲気ではあったが実り多いものであったことは確かで、デザイナーと直接言葉を交わせたのはやはりいつものことながら貴重に思う。公式サイトの利便性や更新頻度などから、今後大丈夫かとちょっと思うところがあったが、クリエイターの意気込みは高く、一安心だ。
表参道店について触れると、接客は商売気が少なく、ギャラリー色の強い感じで好印象だ。入りさえすればゆっくり見られるし、話も聞きやすい。高級感が相当あるので、カジュアルな趣向の人にはとっつきにくい部分はあるかもしれないが、一歩踏み込めばどうということはない。表面の形は違えどその点ではこれまでもしばしば記事に登場してきた上野のクラウンと同じだ。
インテリアデザインまでデービッド氏が手がけているということで、ブランドカラーを店舗全体で表現している。アクセサリーのデザインと同系統にまとまっており、ちぐはぐということもない。
品揃えの点でも都内にある他の取扱店よりスペースがあるため、かなり豊富に揃っているようで、全体通して見ていい店だと思う。
まだ宣伝もあまり出ていないようなので客数は少ない。かえって入りやすいかもしれないので、興味のある人は見てみると良いだろう。




