2004年11月11日

死の舞踏

死の舞踏 アンリ・カザリス

ジグ、ジグ、ジグ
墓石の上
かかとでリズムを刻みながら
死神は踊る、真夜中に
ヴァイオリンに乗せて

冬の風が吹きすさぶ
死装束に包まれた夜を縫って
ライムの木々がうめく、白くさらされた
骸骨が闇を縫って軽やかに飛ぶ
死装束を着て、跳ね、走り回る

ジグ、ジグ、ジグ
皆それぞれにジグを踊る
踊る骨のかちゃかちゃいう音が聞こえる
色好みのふたりが並んで苔に腰かける
人生のやわらかな甘い菓子を
ふたたび味わおうとするかのように

ジグ、ジグ、ザグ
死神はたえまなく
あの胸を刺す楽器をかき鳴らす
ベールが落ちた!
ほら、踊り子は裸になって
お相手の恋をする腕に抱きとられている

その貴婦人は、
皆の話では女侯爵かそれ以上
若い愛人は一介の馬車作り
いたましや! ごらん
彼女はあの無骨者のために我を失っている
彼が男爵ででもあるかのように

ジグ、ジグ、ジグ
なんというサラバンド!
なんという死の輪、誰もが手をつないで!
ジグ、ジグ、ザグ
その真ん中に、はっきり見える
悪党と一緒に跳ね回る王が

だが、そら!
ふいに彼らは踊りをやめる
押しあいへしあい逃げていく
雄鶏が鳴いたのだ
ああ、この哀れな世にしてなんというすばらしき夜
死と平等に祝福あれ!


これはサン・サーンスの交響詩にもなった、フランスの詩人カザリスの詩。
14・5世紀、ルネサンス期にあたるだろうか。「死の勝利」「死の舞踏」といったテーマでたくさんの絵画など芸術作品が生まれた。生を謳歌する華やかな側面を持ちながら、一方ではそうした死を身近に思う思想があった。メメント・モリ思想。
これは悲惨な戦争、飢餓、そしてペスト(黒死病)により老いも若きも富めるも貧しきも男も女もなく死体の山を積み上げた中で、死というものを通して生という概念を強くしたことにあるだろう。(この詳細は9月11日の記事にて触れている)
人々は死を骸骨によって擬人化し、装身具や絵画を通して彼らを身近に思い、彼らと戯れた。
インターネットで「死の舞踏」「死の勝利」といった言葉を検索してみるといい。たくさんの詩や曲、絵画や映画、本などのタイトルとしてその名を見つけるだろう。
上野の国立美術館で「死の舞踏」展が行われたこと。歴史研究においても重要な意味を持つこと。

これは日本における諸行無常とは異なるかもしれない。しかしながら生者必滅、も裏を返せば終わりへの意識だ。それを受けいれることと畏怖することとの違いはあれど。
仏教思想については僕の理解の範囲を越えているので、今は触れない。じきに勉強したら、和物に生かせるうんちくを出していきたいと思う。


posted by 遼 at 02:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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